千歳くんはラムネ瓶のなか 4巻紹介感想

千歳くんはラムネ瓶のなか 4巻感想

前巻と1巻の紹介はこちらから

※この記事はあらすじ、全体の感想・ネタバレ感想を語る感想記事です。ネタバレを回避したい方はネタバレのバナー前までお読みいただき、作品を読破した後に続きをご覧いただければ幸いです。

ストーリー・あらすじ

あの夏の、忘れ物を拾いにいこう。

インハイ予選を終えた7月。陽はチームの新キャプテンになった。

仲間とぶつかり合いながら切磋琢磨し、ともに高みを目指す日々。その姿はやけに眩しく、俺の心を揺さぶった。

そんなとき、野球部のエース、江崎が現れる。

「朔……頼む、野球部に戻ってくれ。どうしても、お前の力が必要なんだ」

――あの暑い夏の日。自分で止めた時計が、もう一度音を立てて動き出した。

これは、挫折と葛藤、そしていまだ胸にうずく“熱”の物語。

あの夏を終わらせて、もう一度、夏を始めるための物語。(Amazonより引用)

全体感想
青海陽のメインヒロイン回です。スポーツ・バスケに生きる陽と元野球部で主人公千歳朔の物語。
前巻までにも伏線として軽く触れられていたが、朔がどうして野球部を辞め、今に至るのかが明かされます。
進学校特有というか勉強がメインの学校と、バリバリの体育会系の私立とは違って部活でどのくらいの目標にするかはそれぞれ違う。
テニス部の柊夕湖や吹奏楽部の内田優空は勝ち抜く事よりも楽しむ事を主軸に置いていた。
高校2年の夏といえば3年生が最後の大会を迎え、負ければ夏は終わり。当然それを引き継ぐのは後輩の2年生となる。
青海陽が新バスケ部キャプテン。七瀬悠月が副キャプテンに就任し、インターハイに向けて進もうとするがどこか乗り切れないメンバー達……
全国大会(甲子園)を目指したいが、負けた時の言い訳に出来ないからか本気になれないメンバー達……1年前の夏、朔はそいつらから逃げてしまっていた。
陽と悠月もメンバー達との軋轢に飲み込まれようとしていた。

ネタバレ感想

まず最初に私は柊夕湖が好きである(定番ネタ)

さて、私は学生時代、演劇部に所属しながら英会話の部活に入っていたのです。親が英会話をやれと言って聞かないので英会話の部活に所属しながら実際にはほぼ演劇部に通っていました。
私が幸運だったのが、私自身は夕湖や優空のように楽しめればいいという感じだったのですが、担任やその時のメンバーに恵まれたのか全国大会から国立劇場まで進む事が出来ました。
普通の公立高校だったので、いけるとこまで行こうという感じだったと思います。
部活顧問や部長はちゃんと戦略を練っていたと思いますが、私は趣味でしがない物書きをやりながら台本を直したり演出補佐や小道具をやっていただけなので朔や陽のような葛藤もなかったですね。
基本的に裏方を希望しなければ役は貰えることが多かったのですが、私は親に隠れて演劇部をやっていたので名前を外に出せなかったんですね。
バレても構わない文化祭のクラス劇とかでは主役級を頂いたりはしましたが……
そういった意味では今回のお話は私の経験しなかった青春です。私の知らない所でもしかしたら部活顧問や部長、副部長は朔や陽と同じように悩んだりしたのかもしれません。
バスケ部顧問の美咲先生は朔に気づきを与えてくれたし、野球部顧問の苦悩の一端もうまく描かれていたと思う。
人はその立場にならないと気づかない事があるという事をしっかり描いていて、朔は周りから万能に見えるだけで普通の学生なんだときちんと読者に理解させている。

読んでて感じたのが、朔って落合博満さんみたいだなと。元中日監督で三冠王を3回獲ってる選手です。知らない人はいないでしょう。
落合さんは学生時代に運動部の上下関係になじめず試合の時だけ助っ人に呼ばれていたらしいです。
朔も助っ人に来てきちんと結果を出し、さらにチームを団結させるまでやってのけてしまうのはすごい事です。これは相当なメンタルがないと出来ない事だと思います。
小説だからとか物語だからで片付けてしまうのももったいないです。本来、人にはそれくらいの情熱がきちんと備わっているが、歳を重ねたり、現実を見てしまったりして、言い訳のつく安定を求めてしまうものではないかと思う。
「他人より才能があろうがなかろうが、好きならやるしかないんじゃないか?」
このセリフが今回のお話のすべてに共通していたんだと思いますし、今好きな事をやれていない私にはかなり響きました。

最初は朔の事が好きではなくどちらかというと苦手だった陽が、朔の諦めない姿を見て感動し進み続けた。朔が立ち止まった時には陽が支え、陽が立ち止まった時に朔が支える。
そして恋に落ちる。朔が最終的に誰を選ぶのかはわからないが、また矢印が一本、朔へと向いた。
夕湖が言うように「一方的に私が好きなだけ」全ヒロインこの状態になるんでしょうね。
試合中に告白したりだとか叫ぶのは読んでるこっちが恥ずかしくなったり……青春だなと思いました。
キスのシーンも他の女の子の事もあるからなのか唇は奪えず。身長差があるとはいえ座らせるなり出来るはずなので、これは陽の今はここまでという愛情表現なんだろうと感じました。
社会人も今青春の真っ只中の人も、青春を感じられる一冊ではないかと思います。胸が熱くなる作品です。前巻が「月」なら今回は「太陽」のような熱さ、熱気が伝わってきました。
さぁみんなも俺も言い訳してねーでさっさと取りかかれ!

U-NEXT
おすすめの記事